ユーフォリアの猫たち

水峰愛のスピンオフ

男と女シリーズ①

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(気を抜くと忘れそうになること)

「自分を責める必要はない」を「自分を責めてはならない」に持っていかないこと。

感情は生まれてしまったら昇華させるしかなくて、「ないこと」にはできない。

ネガティブな気持ちを抱いたときに、そんなふうに思う必要がないことを自分に教えてあげることは大切だけど、「大丈夫、私は私を責めてなんかない」と言い聞かせるのは逆効果で、気持ちの逃げ場が無くなって、エネルギーは滞ったまま心がぼんやり塞いでしまう。それは自分へのポジティブ・ハラスメントに他なりません。

それは、胸の苦しさ、圧迫感が教えてくれる。なんだか気持ちが晴れない、もやもやが続く、それは押し殺している感情があるというサインだということに、最近気がついた。

「あ、ポジハラやってませんか」って自分に問いかけると、まぁだいたいやってるよね。

私の場合は、「清い人間でありたい」というところよりも、「私はそんなに弱くない」「タフでありたい」という意識によって、私自身の発する弱音を認めにくいというマインドの癖がある。

 

で、ここからは、男性性と女性性の話。

 

子供の頃から、いじめられても、集団で無視をされても、それで学校を休むとかは自分で許せなくて、「痛くも痒くもないんじゃ」みたいな顔をして過ごしていたから、引っ込みがつかなくなって、ヤンキーでもなんでもないのにトイレで5対1でタイマンを張る羽目になったりしていた。

あ、そうだ思い出したんだけどあの日の放課後、私をトイレに呼び出した同級生の女子たちは5人でぞろぞろ私のところにやってきて、「話があるんだけど」とか言うので、「ややこしいわ、一人ずつ来い」って言ったら「それは無理!」って言ったんだった。そんなに怖いなら喧嘩なんか売らなきゃいいのに。

でも私はとても孤独で、悲しくて、彼女たちをトイレで罵りながら、なんでこんなことになったんだろうと、泣きたい気持ちでいた。相手陣営の5人のうちの3人くらいが泣いていて、でも泣きたいのはこっちなんだけどと思っていた。

高校生になったら、まわりの女の子たちは、彼氏に嫌な目に遭わされたら私に言いつけに来るようになった。そのたびに、私は女の子を泣かした野郎を部室の裏に呼び出して、ズタズタに説教をするという不毛な任侠道を歩む羽目になった。美術部だったんですけど私。これ美術部の仕事じゃなくね?っていう。

当時の私は「男らしいタフさと、アートや文学への造詣もある繊細さを兼ね備えた男子」が最強の理想だと思っていた。でもド田舎の高校にそんなハイブリッド男子は一人もおらず、さらに言うならその理想って完全に自分を男にした姿だった。

そういう男子に女子として愛されたいと思っていた。私は私を愛したかったのだ。ほんとうはね。

 

ちゃんと女として生きるようになってからも、つきあった相手は、料理家とか画家とか、バンドやってたり、占いが趣味だったり、花の栽培が趣味だったり、女性的なエネルギーの強い人がほとんど。

実際に彼らは良くも悪くも私より女っぽくて、クリエイティブで優しい態度が好きだった反面、「男のくせに恥ずかしくねぇのか、そのザマは!」と、自分の中の若頭が顔を出して憤慨したことも数知れず。

 

でも彼らの気持ちもわかる。

私はけっきょく女だから、どれだけ見栄を張っても最終的には「だって女だもーん」という逃げ道を自分でちゃんと用意していた。

強さを自分に強いることに疲れたら、ちゃっかり女子に戻って誰かにおんぶしてもらうしたたかさがあった。

でも男子にはその逃げ道がないから。

最初から最後まで男でいるしかないから、男らしさを発揮することに、たぶん女の私よりも責任が伴うんだと思う。

自分が宣告した男っぷりに最後まで追い回されることになるから、最初から無謀な打ち上げ方を回避して手加減した男性性で生きた結果が、局面でのナヨナヨした態度に現れていたのかもしれない。

だから、女性性と男性性を案外器用に使い分けている私はトクだよね。

 

「男基準の男女平等」が敷かれてから、女子たちもメキメキと強くなって、たぶんその基準がすでに不平等だって気づかずに超頑張っている人がまわりにたくさんいる。女のほうがおそらく根性が座っているから、がんばろうと思えばかなりのところまで頑張れるのだろうな。

私はそういうタイプではないけど、どっちかってと、同性を敵に回さないために、男として振る舞うことが染み付いてしまった気がする。

学校とか職場とかで。男っぽく振る舞ってるほうが、女子たちからは敵認定されにくいから。

女のコスプレもしてるけど、男をデフォルメして表現することもある。それも処世術だった。

 

まあでも男性性と女性性に関しては、まあまあ納得いくバランスでやってんじゃなかろうか。

 

 

ああ!今度こそドーナルグリーソンのこと書くからな!(誰も求めてない件)