蟹と漫才
昨日の医者は機嫌がよかった。
私の病気が快方に向かっているからだ。
本当のところ、実感としては劇的に良くなったってわけでもない。
いや、気のせいかも?くらいの感じかもしれない。
でも、検査の結果には改善が見られているとのことだった。
たしかに、日々、めまいのことを気にして過ごす時間は減った。
単に慣れただけな気もするが、気にしなくなったら治りは早いらしい。
そう言われると何となく良くなった気もして、帰り道の足取りは軽い。
貰った薬は、メリスロンと漢方の苓桂朮甘湯。
前回言われていた、お脳をぼーっとさせて誤魔化す系の強い薬の服用は免れた。
帰宅すると、玄関にでっかい発泡スチロールが置かれていて、蟹が届いていた。
あー知ってたら崎陽軒のシウマイ弁当買わなかったのに、氷結じゃなくて一番搾りにしたのに。と思いながら、崎陽軒は冷蔵庫へ格納。
1キロくらいある茹で松葉蟹である。
松葉蟹に関しては、この世に現存する食材で至高(断言)
でバシバシ捌いて、粛々と食べる。
口に入れるごとにエクスタシーに襲われるので、その都度白目。
私いまこの瞬間に、
「お前蟹食ってる場合か、もっと向上心を持って自分を律しろ」
的な説教をされたら、
「いや、蟹食ってる場合なんだよ君。これ以上に素敵なことなんてないよ」
と、そいつのハングリー精神を憐れみながらウットリと太い脚をむしゃぶり続けるでしょうね、それくらいの美味。
でも、この美味しさを知らない人がいたとしても、人生損してるよとかそういうこと言うのはしょうもないよな、
だけど私が甲殻アレルギーになったら心は確実に死ぬよな、なんて、心底とりとめのないことを考えていた。
トランス状態だから。
蟹臭いスエットを洗濯機にぶちこみ、未練がましく作る蟹殻汁の旨さ。
数日遡って、M-1グランプリを観て久々にすこし泣いた。
今年は本当におもしろかった。
過去の関係者(隠語)が決勝の舞台に立ったのよ。
当時は鳴かず飛ばずだったから、ほんとにがんばったのねぇって思って。
私は静かに心の底で応援してるだけだから安心したまえ。